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QUESTION

不整脈から脳梗塞になる事があるって本当?

心房細動という不整脈があります。私たち循環器医が最もよく遭遇する不整脈の一つです。 年齢とともに有病率が上昇し、60歳を過ぎると急に頻度が増えます。日本での患者さんの数は120万人以上にのぼると推測されています。合併症として重篤な脳梗塞を引き起こす事が問題です。自覚症状としては、動悸、脈が速い感じ、脈が乱れた感じがあり、長く続くと息切れや疲労感、むくみなどの心不全の症状が出てきます。 ただし、最も重要なのは、何の症状も感じない事が最も多いとされている事です。

普段の心臓は、心房と心室が規則正しく協調して動いていますが、心房細動では心房が1分間に400~600回も細かく収縮します。 こうなると、心房の中で血液のよどみが生じ、左心耳とよばれる袋状の構造の中に血栓ができやすくなります。 これがはがれて血流にのり頭に飛んでいき、血管を詰まらせてしまいます。このように、血栓が頭に飛んでいき血管を詰まらせることを、脳梗塞の中でも脳塞栓症と呼び、脳梗塞の症状が重篤になる事が多いのです。寝たきりになったり、しゃべれなくなったりという症状を起こしてしまいます。 しかし全ての心房細動の患者さんが脳塞栓症を起こすわけではありません。65歳以上の方、糖尿病、高血圧のある方、心不全や脳梗塞を起こした事がある方は脳塞栓症を起こすリスクが高いです。

気になる症状がある場合には、専門医にきちんと相談する必要があります。 24時間心電図(Holter心電図)を受けてきちんと検査をするのがよいでしょう。 心房細動と診断されたら、まずは脳塞栓を予防する必要があるかを診断する事が重要です。 予防としては、抗凝固薬を用いて血栓の予防を行います。また、心房細動の再発を防ぐための薬や、カテーテルアブレーションという不整脈を起こす部位を焼灼してしまう治療法もあります。カテーテルアブレーションの成績は最近よくなってきていますが、しかし、まず行うべきは脳梗塞の予防を行う事です。

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