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健康診断で異常を指摘された

心電図異常

健診で見つかる不整脈には 期外収縮 心房細動 心房粗動などがあります。
これらの不整脈は、心臓に異常があるために出現している場合と、心臓に異常がないのに出現している場合があり、問診、聴診、負荷心電図、心臓超音波検査、Holter心電図(24時間心電図)、血液検査などを行い治療方針を決定します。
重要なのは、症状がなくても精密検査や治療の適応となる場合がある事です。逆に症状があっても生命を脅かすものではない場合もあり、治療の対象とはならない、もしくは症状を軽減するための薬物治療という方針となる場合もあります。

その他健診で見つかる不整脈以外の心電図異常には、異常Q波、陰性T波、ST異常、QT延長、右脚ブロック、左脚ブロックなどがあります。これらについても同様に、問診、聴診と、必要に応じて負荷心電図、心臓超音波検査、Holter心電図(24時間心電図)、血液検査などを行います。

脂質異常症

以前は高脂血症と呼ばれていました。高LDL血症、高中性脂肪血症などがあります。
LDLコレステロール(LDL-C)が深く動脈硬化発症に関与している事が分かっています。
LDLコレステロールや中性脂肪(TG)が高いほど、また、善玉とよばれるHDLコレステロールが低いほど、狭心症、心筋梗塞の発症頻度が高い事が疫学調査にて示されています。
異常値を指摘された場合には、問診、診察、血液検査所見及び既往歴(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、糖尿病、慢性腎臓病、高血圧症など)、喫煙の有無、家族歴などから治療方針を決定します。

原発性高脂血症と2次性高脂血症があります。
原発性高脂血症は原因がはっきりと分かっていないタイプの脂質異常症で、多くは患者さんの生活習慣が影響して引き起こされると考えられています。

患者さんの状態が、二次予防(既に心筋梗塞や脳梗塞をした事がある方)なのか、一次予防なのか、さらに高リスク群、中リスク群、低リスク群に分けて、これらのカテゴリーのリスクに応じた治療方針を立てます。
これはまず、食事運動療法が基本となり、さらにLDLだけでなく、高血圧、糖尿病などに関しても個々のリスクに応じて、管理目標値を決めます。

一次予防の場合には、食事運動療法により目標値に到達しない場合には、薬物療法を考慮します。
二次予防に場合には既に高リスク状態であるため、薬物療法が推奨されます。

家族性高コレステロール血症について

原発性高脂血症のうち、家族性高コレステロール血症とは、比較的頻度の高い遺伝性の疾患です。
この疾患は、未治療の場合には男性では30~50歳、女性では50~70歳で心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患を発症することが多く、早期診断を行い、適切な治療を行う事が、若年死を予防することにつながります。 約500人に1名の割合でヘテロ接合体が存在すると言われており、日本での患者は約30万人とされています。

2次性高脂血症

他の病気や薬が原因となって起こるタイプの脂質異常症で、甲状腺機能低下症や肝臓病、腎臓病、糖尿病などの疾患、薬としては、ステロイドホルモン剤や利尿薬、避妊薬などが原因となります。

血糖値とHbA1c

健診での血液検査は空腹で行うことが原則ですので、血糖値は空腹時血糖ということになります。しかし糖尿病の発症の前段階には空腹時血糖は上昇せず、食後の血糖上昇から始まります。この発症前段階を耐糖能異常(IGT)といい、すでにこの時期から動脈硬化は進行し、心血管系疾患発症のリスクは高まると疫学データで示されています。この耐糖能異常の段階から進行しないようにするために、食事運動療法による介入が必要となってきます。

HbA1c とは簡便に今の血糖の状況を把握するために、HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)という採血項目があります。 Hb(ヘモグロビン)は血液中にある赤血球に含まれる蛋白で、血液中のブドウ糖と結合する性質を持っています。
HbA1cはこの結合したものの一部であり、血糖値が高いと、HbA1cは高くなります。
つまり、たくさんのブドウ糖が余分に血液中にあってヘモグロビンと結合してしまっていたということです。

赤血球の寿命は約4ヶ月であり、その半分、約2ヶ月前の血糖値を反映します。
ですから、HbA1cが高いということは、最近2ヶ月間血糖が高かった事を示しています。
採血前に食事をしていなくてもすぐには下がりませんし、前日の夜にデザートを食べたからといって急には上昇しません。
糖尿病初期には、空腹時の血糖はあまり上昇せず、食後の血糖値が上昇します。
しかし、食後の血糖が高ければ、よりHbA1cは上昇します。

治療はどうするのか?

現在いろいろな種類の血糖を下げる薬がありますが、大原則は食事運動療法です。
あまりに血糖が高く緊急を要する場合(この場合はインスリンを用います。原則入院での治療となります。)を除いて、最初から血糖を下げる薬を処方する事はありません。 間食、アルコール、食事の内容、現在の運動の状況など様々な事項を問診により明らかにし、どのように食生活を改善していけばよいのか? 何に気をつけて生活していけばよいのか? など、食事運動療法の効果が出るようにアドバイスを行います。
HbA1cの結果は必要であれば迅速検査で行う事ができ、わずか数分で結果が分かります。

尿蛋白、尿潜血、血清クレアチニンの異常

尿蛋白、尿潜血は、尿検査をすれば、その場で直ぐに分かります。

●尿蛋白陽性

尿蛋白は腎臓病を早期発見する重要な手がかりとなります。健診で尿蛋白が認められた場合には尿沈渣(尿を顕微鏡で見る検査)を行います。また起立性蛋白尿の除外のため、早朝第一尿を持参して頂く事もあります。起立性蛋白尿とは、横になっている時はタンパク尿が出ないが、立っている時などにタンパク尿が出るものです。

蛋白尿には起立性蛋白尿以外にも生理的蛋白尿(運動後・精神的ストレス・発熱・入浴後)の場合もあります。しかし健診で異常を指摘された場合はまず医療機関への受診をお勧め致します。

●尿潜血陽性

顕微鏡による尿沈渣検査を行い、尿潜血が赤血球による(つまり血尿)ものか、ヘモグロビン尿やミオグロビン尿など赤血球以外ものかを確認します。
血尿を来す病気としては尿路結石以外にも腎臓病や膀胱・腎臓の悪性腫瘍など様々な疾患があります。

●血清クレアチニン値の上昇

慢性腎臓病の有無を確認する必要があります。尿蛋白や尿潜血を伴っていれば間違いなく精密検査の対象となります。尿蛋白や尿潜血が陰性であっても場合によっては腎臓専門医への相談が望ましい場合があります。

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